とあるSOHO雑誌のうちの記事の切り抜き

98/10/15くらいに発売の月刊CYBIZ”SOHOコンピューティング”という雑誌です
●見出し
(リード)
顧客の6割が健康や体型に敏感な20代〜30代女性
ホームページでの情報提供&顧客の理解により、問い合わせのほとんどが予約に
富山やタイからも施術を受けにくるほど、顧客は熱心

(メイン)
「広範囲に告知する」インターネットを逆手にとり
ピンポイントな情報提供で熱心なユーザーをキャッチ

●本文
(冒頭の小見出しなし)
 今回の取材先は、東京南部の品川区、住宅街の真ん中にある看板もなにもかか
っていないごく普通の一戸建て住宅だった。誰もそこで商売しているとは気づか
ないが、実はインターネット上でのみ宣伝活動を行い、半年先まで予約でいっぱ
いという人気の整体院だというのだ。本誌でも今までに紹介したことのない一風
変わった業種であり、しかもホームページを公開しただけで問い合わせが続々来
たとあれば、興味はつのるばかり。さっそく詳しい話を伺ってみた。
 事業主である鈴木政春さんが自宅で整体院を開業したのは97年11月。会社形態
ではないのでホームページの開設をもって開業としたが、整体そのものを始めた
のはもっと前からだった。
「父が体を悪くしたのがきっかけで健康に興味を持ち始めたんです。93年の4月
くらいでしょうか。それから整体の勉強を独学で始めました。整体というのは鍼
灸みたいに学校があるものではなく、教えてくれる先生もそんなにいません。非
常に苦労しました」
 その後、関根さんと知り合った鈴木さんは、関根さんに「持っている栄養学の
知識を活かしてくれないか」と手伝いを頼んだという。
「整体と栄養学は直接結びつかないように見えますが、『ボディワイズ』には美
容面での相談ごとも多く寄せられます。健康の手助けをする『ボディワイズ』と
しては、食物のことも密接に関係しています」
と関根さんは説明する。出会って以来、二人三脚でここまでやってきたのだ。
 お二人が手がける整体は、世間のイメージによくある骨をばきばきやるような
ものではなく、アメリカで研究されてきた「ボディワーク」という手法だ。
「筋肉は筋膜という膜で包まれています。この膜同士が癒着すると動きが鈍くな
り、体格などに影響を与えるのです。『ボディワーク』はこの筋膜を引っ張るよ
うにしてはがし、体の動きを潤滑にします」と鈴木さん。

(小見出し)
信頼獲得もインターネットで
事前の情報提供でお客に安心を

 ところで、整体というと「町中の治療院」というとてもアナログ的なイメージ
があり、パソコンとは関係ないように見える。鈴木さんはなぜインターネットで
の宣伝を選んだのだろうか?
「会社を設立するわけではないので、お金をかけることができませんでした。そ
ういう意味で、安価な手段として選んだのがまず1つ。次に、整体は医療行為で
ないにも関わらず人体を扱います。お客様に安心していただきくために、こちら
からあらかじめ多くの説明を提供して信頼されることが必要です。それにうって
つけなのがホームページなのです」
 鈴木さんはそう説明するが、一方的に告知しただけではここまでうまく行くわ
けがない。
「整体を希望されるお客様は、健康や姿勢のことなどで深刻に悩んでいらっしゃ
います。それだけにインターネットでの情報収集も真剣ですので、そこにこちら
から情報を提供すれば必ず反応が帰ってきます。広く一般に告知しているように
見えますが、実は特定の対象にピンポイントでアピールしているんです(鈴木さ
ん)」
「お客様の6割が20代〜30代の女性だということからも分かるとおり、悩みを抱
えた女性は多いのです。そこで、同じ女性である私を前面に出したホームページ
を作ることで、安心感を与える気配りをしました(関根さん)」
 開設から1年でアクセス数もそろそろ5万ヒットを数え、さらにメールでの問い
合わせをしたほとんどの人が予約をするという充実ぶり。しかし、お客一人にか
ける時間が3時間ちかくかかってしまうため、どうやっても月に60人に施術する
のが精一杯だそうだ。

(小見出し)
ボディワークを多くの人に知ってもらいたい
ビデオやテレビ電話でのフォローを企画

 いくらSOHOと言えども、事業がうまくいけば人員増や設備導入などによる効率
化などの対応を迫られるのが実際。現在、すでに半年ほどの予約待ちを出すほど
の盛況ぶりだが、今後は人員増などを考えているのだろうか? そのあたりの質
問を鈴木さんにしてみた。
「ボディワークの技術も確立してきましたし、もっと多くの人に知っていただき
たいのは事実です。ですが、私どもがいま以上のお客様に直接対応するのは難し
いです。私が以前ビデオ制作の仕事をしていた関係で業務用機材を持っているの
で、これを使ってビデオでワークの方法をレクチャーしていきたいと考えていま
す。簡単なものでしたら、お待たせすることなくご自身でボディワークを実践し
ていただいたほうがよっぽど早いですし、より多くの方にボディワークの有用性
を具体的にご理解いただけるのではないかと考えています」
 さらに、ホームページ上で体の調子を見極める「ボディチェックサービス」を
企画中だという。現在すでにチェックボタンを使った簡単な診断ページがある
が、さらに磨きをかけてよりよいものにしたいとのことだ。
「インターネットテレビ電話が併用できれば、クオリティの高いサービスにでき
ると思うんです」
と鈴木さんは構想を語る。
「現在は、『商品』としてのボディワークやサービスを充実させてお客様の信頼
を得ることが第一で、自己研鑚で精一杯です。利益をあげるためにどこかを割り
切るようなマネは、とてもじゃないですができませんね」
 整体というアナログ的な仕事に、インターネットというデジタル要素を取り入
れ、うまく調和している。日本の市民生活レベルでのデジタル化は、ハードウェ
アの導入ではなくこういったところから自然に馴染んでいくのかも知れないと感
じさせられた。

●カコミ
(見出し・「ボディワークとは?」という見出しを変更します)
整体院を開業するということ

(Photo2 入る)

(本文・キャプションなし)
 整体院は病院と違い、簡単に開業できる。整体をするにあたっての特殊な器具
や設備はあまり必要ない。「もちろん、治療に応じて道具を使うこともありま
す。しかし、基本的には施術のために横になっていただくスペースと、マットや
シーツ、着替えなどがご用意できれば大丈夫です。整体はすべて自分の知識と技
術が勝負ですから(鈴木さん)」