太極拳はゆっくりとした動作を主とし、「柔」と「緩」は太極拳の動作の特徴であるが、ゆっくりする程良いというのではなく、ゆっくりし過ぎると気勢が散漫になってしまう。
「運勁如抽絲(勁力の運用は糸をつむぐが如し)」と言われるように、力はこわばらず、滞らず、速度は急に早くなったり急にゆるむことなく一定の平均速度(等速運動)を保ち、柔らかく緩やかでむらのないスムーズな動作が、太極拳に要求されている。
しかし、この柔和で緩慢な運動の流れの中には、当を得た重心と虚実の切り替え、そして身体のバランスと安定を保つことが要求される。