経絡は中国医学の基本を構成している重要な概念の一つで、鍼灸(しんきゆう)治療の基礎になっているものです。
現代医学の解剖、生理学的立場からは、これら経絡の存在は認められず、従来は非科学的な説と否定されてきましたが、最近はその機能性が電気生理学から注目されてきています。
はり、きゅうの臨床では、これを無視しては診断治療が成立しないほど重要な概念です。
経絡とは気の流れの道筋であり、経脈、絡脈(任脈、督脈)の総称です。
経脈(けいみゃく):体を縦に走る道筋を「経脈」といい左右12本ずつあります。
それぞれが5臓六腑に繋がり、気が循環していると考えます。
5臓6腑にはつながらず全身を網状に循環している気の道筋を「絡脈(らくみゃく)」といい、「絡脈」は「任脈」と「督脈」とに分かれます。
「任脈」はくちびるの下から胸の中心の檀中穴、臍にあたる神厥を通り、肛門と性器の端との中間にある会陰までの、体の腹側、中心を通っている経脈です。
「督脈」は会陰から後面、背中側の中心を通って臍の裏側にあたる命門穴、首の付け根の大椎穴、頭の頂上の百会穴から鼻の下までの経脈です。